静岡県平和・国民運動センター
静岡県に「平和行政推進に関する要請」を実施

東海ブロック第8回「憲法フォーラム」集会

 東海ブロック第8回憲法フォーラム「震災・原発事故から学ぶ、人権・生命の尊厳を守るため憲法改憲に反対しよう!」 (平和フォーラム東海ブロック連絡会議主催)が10月20日午後、岐阜市鶴舞町・ワークプラザ岐阜で開かれ、静岡県から、静岡県平和・国民運動センター加盟の組織から18人が参加した。

 開会の挨拶で、同連絡会議の浅野専市事務局長は「現在の政治状況は自民党、公明党は解散総選挙を迫り、一方では、衆参議院の選挙制度で違憲状態にあると判決が出た。さらに、特例公債発行法案の問題を抱え、政局は混迷の度を深めている。しかし、私たちはこの1年半以上かけて脱原発を目指し1000万署名に取り組んできた。これだけ多くの国民が結集し、大きなうねりを作り上げた事実をしっかり捉えながら、私たちの考える民主的運動というものを今後、どのように強化し展開していくか、ということも含めながら、本日の集会は、3・11の大震災とあわせて、今の日本国憲法の基本的人権、生存権の問題に焦点を絞り集会を開催させていただいた」と話した。

 続いて、主催者挨拶で、同連絡会議の櫻井靖雄議長は「東日本大震災が起こってから1年7か月が過ぎた。私が危惧するのは、メディアの取り上げることが少なくなってきていることである。まだ、東北地方を中心に32万人以上の方がとりわけ、福島県では16万人の方が非難を余儀なくされている。このような状況の中で、いまだ国による支援が見えてこない。福島第一原発から60km離れた福島市内でも至る所に線量計が設置され、住民はそれを見ながらの生活を余儀なくされている。私たちは、これを風化させることなく、もう一度原発の影響というものを見つめ直さなければならない。私たちは、エネルギー政策の転換を求めて『さようなら原発1000万人アクション』を実施してきた。これまで集まった800万筆を超える署名は政府に提出した。署名は1000万筆を超えるまで実施していく。政府は2030年代までに原発の依存度をゼロにしていくことを決定したが、一方で青森県六ヶ所村の再処理施設は稼働、建設が中断されていた大間原発や島根原発は建設を再開した。今、脱原発基本法が国会へ提出されている。これは、脱原発の道筋をしっかりと担保していく法案であるが、何としても国会で通していくことが、これからの私たちの運動に課せられた使命である。また、尖閣や竹島問題で、ナショナリズムを煽り立てる報道の仕方で領土問題が取り上げられていることが残念でならない。自民党総裁選で、安倍元総理が再度総裁になったことで、改憲して戦争ができる国にしようとしていることを非常に危惧している」と問題提起を含む挨拶がされた。

名古屋学院大学准教授の飯島滋明さん

 櫻井議長の挨拶に続いて、基調講演に移り、「東日本大震災と人権侵害・改憲の動き」と題して、名古屋学院大学准教授の飯島滋明さんが講演を行った。 飯島さんは、東日本大震災の被災地に入り、被災の状況を見たり、住民の生の声を聞いたりして「被災者は、自分の家に戻り、元通りの生活をしたいと望み、本当の心情を言葉にできずに我慢している」と話した。

 また、飯島さんは「痴漢容疑」で広島県警に任意同行と言われながら、いきなり「現行犯逮捕」された。逮捕後3日目に釈放され、不起訴処分となった、自らの体験や東電OL殺人事件、最近のパソコンの遠隔操作による事件を取り上げ、「警察は、自白に追い込み、証拠をでっちあげる」と警察から受けた人権無視の非道な処遇を批判した。 飯島さんも、不起訴処分となるまでの3か月間は、将来のことを不安に感じて日々を過ごしていたと言い、「東日本大震災により、学生が内定を取り消されたり、『職業選択の自由(憲法第22条)』を奪われている状況がある。また、自分の所有する土地が区画整理完了するまで使用できなかったり、財産がすべて津波により消失してしまったなど、『財産権(憲法第29条)』がなくなっている状況がある。また、仕事に就けない、仕事が継続できないとなると、どのように生きていけばいいのか。これは『生存権(憲法第25条)』が保障されないということになる。仮設住宅に住んでいることは、健康で文化的な最低限度の生活にはならない。東日本大震災の一番の被害は、将来に対する希望すらない状況になっていることであり、自分の生きたいように生活をおくるという『幸福追求権(憲法第13条)』が根底から存在しないことである。

 東日本大震災は、地震、津波、そして原発事故の複合災害であり、過去に起きた阪神淡路大震災と異なるのは、原発災害である。この原発災害による憲法上の権利が侵害されていることが明らかになってきている。原発は、事故があろうとなかろうと、憲法上の権利を侵害しているところがある」と話した。

 さらに「原発がこれほど危険をもたらすものであることが明らかになったにも関わらず、国はやめようとしない。いざという時に、核兵器を持ちたいという政治が行われている。これこそ、憲法第9条に反する動きである」と話した。

 飯島さんは、ボノム・リシャールの佐世保配備(2012年4月)、オスプレイの沖縄普天間基地への配備(2012年10月)などを取り上げて、「憲法9条は『外国と戦争をしてはならない』、『戦争に加担するようなことはしてはならない』ということである。憲法の条文は変えられていない、法律は制定されていなくても、集団的自衛権について運用が進んでしまっている。憲法は変わらなくても、知らず知らずのうちに憲法が空洞化していっている」と語った。

 これまでの日本の政治や社会の現状の中で、飯島さんは「今の政治家は、復興支援を行うべきであることに関心がないのか、進んではいない。復興支援のために憲法を改正し『国家緊急権』を入れようとしている。『国家緊急権』は政治家にとって都合の悪い人間を排斥するのに使われてしまう。『国家緊急権』がないから復興が遅れたというのは論理のすり替えである。戦争で被害を受けるのは、何の罪もない子どもや女性である。戦争というのは個人の尊厳というものを根底から否定する。そういった意味で、憲法9条の改正に賛成していいのかどうかというのは、皆さんなりに考えていただきたい。私としては、反対すべきだと考えるが、主権者としての皆さんの考えもあると思う」と参加者に問いかけた。

 講演のおわりに、飯島さんは「東日本大震災は、沿岸部、内陸部によっても被害の状況が違う。原発災害も地区によって違う。それに応じた支援策というものを、住民の意見を聞きながらやっていくということが大切であり、そこが個人の尊厳、幸福追求権、及び生存権を実現する政治につながると言えると思う」と語った。

 本集会の最後に、あいち平和フォーラム青山法美副代表は「憲法の理念に基づいて、労働組合運動や地域社会運動が行われている。やはり憲法の理念は、憲法の前文に集約されている」と話し、憲法の前文を読み上げ、改めて集会参加者全員で憲法の精神を確認し、本集会は閉会した。