平和労組団体「フォーラム平和・人権・環境」(略称「平和フォーラム」)と「オスプレイの沖縄配備に反対する首都圏ネットワーク」は、11月4日、港区の芝公園23号地で「止めるぞ!オスプレイの沖縄配備 許すな!低空飛行訓練11・4全国集会」を開いた。市民団体や労働組合の関係者ら約4,000人(主催者発表)が参加した。
冒頭、平和フォーラムの藤本泰成事務局長は「オスプレイ配備には3つの問題がある。1つ目の問題は、オスプレイは何回も事故を繰り返して墜落する危険性の高い欠陥機であるということ。そして、日本の航空法に規定されているオートローテーション機能がない。日本の空を飛ぶことができない飛行機であるにも関わらず、今日本の空を飛んでいるという事実である。日本政府は、日米合意に基づき、制限を加えたと主張しているが、『飛行に大きく制限がついている』とウソ、偽りの日米合意を結んで安全だと主張している。
しかも、沖縄の空を今飛んでいるにもかかわらず、日本政府は「すぐに違反とは言えない」とアメリカ政府の側に立った発言をしている。2つ目の問題は、日本政府が市民の側に立たず、アメリカ政府の側に立って発言していることである。アメリカに従属し、主権者たる市民の言うことを聞かない政府は、日本の政府と呼べるだろうか。3つ目の問題は、アメリカ政府のあり方の問題である。ニューメキシコ州やハワイ州では、市民の反対によってオスプレイの訓練飛行ができない。アメリカ国内で飛ぶことができないオスプレイが、なぜ日本の空を飛ぶことができるのか。アメリカはわれわれを差別しているのか、いまだに敗戦国日本だと思っているのか、という問題である。玄葉外務大臣は、誰もが反対できない沖縄の負担経験を持ち出して全国にオスプレイを飛び回らせる。そのことで沖縄の負担軽減ができるとは思えない。安全保障のためにオスプレイが必要なのか、そういうウソを私たちはしっかりと見つめなければならない。」と訴えた。
「11月にも全国各地でオスプレイの飛行訓練が始まると言われている。この集会の参加者、オスプレイの飛行訓練が行われるすべての自治体住民、自治体議員、可能であれば首長とも連帯してオスプレイに反対する運動を盛り上げていきたい。まず全国でオスプレイの沖縄配備を反対する運動を展開してほしい」と、主催者として訴えた。
次に地元沖縄から、沖縄平和運動センターの山城博治事務局長が「沖縄の怒り、私たちの悲しみや憤りは頂点に達している。藤村官房長官は、日米地位協定は運用改善で十分であると言ったが、(日米地位協定が)運用改善で済むのであれば、なぜ戦後67年の我々の苦労や怒りや涙は、女性たちの悲しみは止むことがなかったのか、沖縄は、日米共同の軍事植民地か軍事管理用地と化している。日米地位協定以前の問題である。日米両政府の姿勢が変わらない限り沖縄の不幸はやまない。そうであるなら、我々は腹を決めて必ずや県民総決起で、日米の野望を粉砕して、自らの手で命と暮らしを守り、また、政府の改憲主義者や戦争待望論者から、沖縄を再び戦場にさせない、もう一度戦争が起きたら、沖縄は島ごと木端微塵になってしまう、そういう戦争は決してさせない。」と強く訴えた。
「16年前、普天間基地の返還が決まったが、辺野古への新基地建設が条件となった。アメリカ政府がいう基地の整理縮小は、基地機能の拡大でしかない。だから、私たちはこれ以上、口先だけの日本政府、アメリカ政府には勝手にはさせない。私たちが普天間飛行場ゲート前で抗議活動を続けている最中、あの痛ましい婦女暴行事件、さらに酒に酔った米兵が住居に侵入し、寝ていた中学生に暴力をふるったとされる事件が起こった。絶対に許さない。沖縄県民が夜安心して道を歩いたり、家で寝ることもできないのか。県民はいつまで我慢すればいいのか」と訴えた。
「日本政府は、オスプレイの低空飛行訓練に航空法を適用しないことを閣議決定した。航空法は、低空飛行訓練のような危険な飛行を禁じた法律である。航空法等特例法という安保特例法があるから米軍機の運用に関しては、航空法を適用しなくていいと言われている。基地でも、訓練区域でもない区域で、米軍機が訓練できる根拠はどこにあるのか。“移動”と“訓練”とは違う。日米地位協定では、移動は認めているけれども訓練は認めていない。基地間移動を名目とした飛行訓練はやらないと日米合同委員会で決定されている。もう1つの問題は、航空法等特例法という安保特例法は、日米地位協定実施にともなう航空法の特例法である。その特例法をオスプレイの低空飛行訓練に適用する結果、低空飛行を禁じた航空法が適用されない。オスプレイの低空飛行訓練が、日米地位協定実施にともなう航空法の特例法が適用されるならば、日米地位協定上どこに根拠があるのか示さなければならない。日本政府は、その根拠を示すことができていない」と問題提起した。
「軍隊による性暴力はきってもきれない、私たちは軍事主義に反対していく。こんなに何度も性暴力が繰り返されてもまだ政府が強行する。その背景には、沖縄に対する差別、女性に対する差別、性暴力容認がこの社会にはある。沖縄に米軍基地がある限り性暴力はなくならない。私たちは、沖縄だけでなく、日本全国で絶対に人権侵害、性暴力は許さないという制度をつくり、私たちの中からも偏見をなくそう」と問題提起した。
その後、岩国・愛宕山を守る会世話人代表岡村寛さんからの連帯メッセージが読み上げられた。
「なぜ静岡なのか、なぜキャンプ富士なのか、オスプレイは飛行機としては理想的ではあるが、今の人間の技術では開発しきれていないのが現状である。今のオスプレイは欠陥機である。われわれは、8月31日、金子豊貴男さんを招いて低空飛行訓練とオスプレイの危険性、米軍再編とは何かについて学んだ。9月8日には、御殿場で沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の東富士演習場での実施とオスプレイ派遣に反対する県民集会を行った。その後、10月18日には県に対し平和行政推進の要請をしてきたが、県は、国から具体的な運用ルールやこれに伴う地元負担などについて、一切説明がない、と回答した。何としても地元での運動を作っていきたい」と静岡県での取り組みについて報告した。
「我々は3回にわたる沖縄現地行動を行ってきた。また、辺野古における阻止闘争については、実働部隊を3度にわたり派遣してきた。今年2月に、沖縄の思いを受け止めようと現地派遣を行ってきた。11月には錦糸町駅北口で情宣行動、12月にはオスプレイの学習集会を計画している」と報告があった。
続いて、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック木村辰彦事務局長から、沖縄平和運動センターの山城博治事務局長へカンパが贈呈された。その後、ムーブメント三味線クラブによる歌と演奏が行われた。集会の閉会に際し、神奈川平和運動センター小原慎一事務局長が「明日から、それぞれの団体、地域でオスプレイの沖縄配備及び低空飛行訓練反対運動を進めていただきたい。12月の沖縄での集会に多くの参加者が集まっていただきたい」とあいさつし、集会は終了した。