静岡県平和・国民運動センター
オスプレイ反対全国交流会

 フォーラム平和・人権・環境と沖縄平和運動センターは、2012年12月23日に宜野湾市海浜公園屋外劇場で開かれる米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備や米兵による相次ぐ事件事故に抗議する「オスプレイ配備反対! 米兵による凶悪事件糾弾! 怒りの御万人大行動」へ参加する全国の平和団体関係者の学習交流会が12月22日、沖縄県那覇市内のホテルで開催され約100人が参加した。

 冒頭、司会の道田哲朗平和フォーラム副事務局長は、「歴史的反動という振子、それもかなり振幅が激しい振子、16日行われた総選挙は、厳しい結果となった。こうした状況の中で我々の闘いは、憲法を守るために、オスプレイを配備させないために、気を引き締めていかなければならない」と話した。

 続いて、藤本泰成平和フォーラム事務局長が共催団体あいさつに立ち、「私たちは、この総選挙の結果をどのようにとらえていくのか、またこの総選挙から次なる闘いへどう向っていくのか、考えなければならない。今考えなければならないことは、戦後の民主主義社会を規定してきた『憲法の改正』という最大の危機に向かって進むのか、あるいはこの国のあり方を考え直し、憲法を守って、戦後社会の目標としてきたあり方に進んでいくのか、ということである。自民党が4月末に改憲案を出した。憲法の意味というものを全く理解しない者たちが、憲法を改正、改悪しようとしている。決して許してはならない。安倍晋三自民党総裁が語っている内容が全くのウソであるのにマスコミは自民党の憲法草案を全く批判しない。私たちは、次の参議院議員選挙に向けて国民に問うていかなければいけない。自民党は総選挙期間中、原発問題や沖縄基地問題について何も語らなかった。しかし、総選挙が済んだら、脱原発政策の見直しや普天間基地の辺野古への移設を明言している。本当に戦後の危機である。沖縄から日本を見つめ直す、アジアの中の日本を見つめ直す、そして米国との関係を見つめ直す、ということをやりながら決して私たちは負けない」と訴えた。

 次に、山本隆司沖縄平和運動センター副議長は「現行の憲法は1946年に発布されたが、当時、沖縄は米軍の直接支配の中で苦しんでいた。沖縄抜きで憲法は決められた。沖縄の中には3つの議論があった。(1)日本に帰属していくのか、(2)米国に帰属したままいくのか、(3)琉球沖縄独立論である。結局、沖縄の人々は、日本に帰属していく道を選んだ。日本国憲法の下に入れば、基地の犠牲、戦争の恐怖からは解放されるだろうという大きな期待を持っていた。しかし、沖縄はいまだ憲法からいちばん遠い、いちばん疎外された地域であることは、客観的に納得せざるを得ない。来夏に再度決戦があるので、もう一度護憲勢力の再結集、再構築を目指して、明日の大行動は、憲法を具現化する闘いの第一歩としていこう」と訴えた。

 憲法と沖縄 改憲を許さないために

講演  高良鉄美琉球大学法科大学院教授

 続いて、「憲法と沖縄 改憲を許さないために」と題し、講師として高良鉄美琉球大学法科大学院教授を招いて、講演を受けた。

 高良教授は「ここにきて『改憲』という問題が急に浮上してきた。今回の総選挙で『改憲』が争点にならなかった。今回、国民は憲法改悪を想定して投票していない。次回、参議院議員選挙で本来の争点になる。憲法の最も大きな意味は“国家の基本構造”である。戦争は生やさしいものではない。生活が大きく変わるのである。“平和ボケ”どころではない。戦争を知らないから“平和ボケ”という言葉がでてくるのである。戦争が始まったら人生が全部狂ってしまう。だから、『どんなことがあっても戦争をしません』というのが、国の基本構造である。国民に憲法を守らせるのではなく、政治家に憲法を守るようにといっているのが『憲法』である。

 自民党が言っている『国防軍』となれば憲法の性質が大きく変わってしまう。軍になるということは“自衛隊”とは全く違う。軍事法制ができる。軍の地位がもっと大きくなってくる。憲法9条が変われば、多方面へ影響が出てくる。教育、徴兵、マスコミ、CM、労働運動や市民運動への圧力、などでてくるであろう。結局、“沖縄の問題”というのは、憲法をないがしろにしている国にまだ希望をもっているのか、ということである。憲法に幻想を抱いていたのではなく、その憲法下にある政府に幻想を抱いていたのである。しかし、憲法には今も希望を持っている。憲法以外に希望はない。これがあるからまだいろいろなことが言える。沖縄は今回の総選挙でギリギリのところまで追いつめられている。日米は、歴史的に“沖縄を口実に”動いている。そして、現在もそうである。オスプレイ自体も、米軍を存在させるための理由づけとなっている。

 最後に言いたいことは、『憲法』というのは、大上段に構える必要はない。憲法は権力者のものではなく、御万人(うまんちゅ)のものである。憲法改正のルールは衆参全国会議員の2/3以上で、全国民の過半数の同意が必要である。しかし、そのハードルを国会議員の有効投票数の過半数、国民投票も有効投票数の過半数に低くしようとしている。今大切なことは、『人に伝えていく』ということである。皆さんが見たり、聞いたりした沖縄の現実を多くの人々に伝えていってほしい」と語った。

 政権交代後、在沖米軍基地の行方と平和運動

講演  元剛琉球新報社政治部長

 2つ目の講義は、「政権交代後、在沖米軍基地の行方と平和運動」と題し、講師として、松元剛琉球新報社政治部長を招き、講演を行った。

 松元政治部長は「迷惑施設である原発や基地など、みんなが恩恵を受けることができるけれども、その直近にいる人たちにとっては迷惑になる、生活が脅かされる施設については、自分の裏庭には置かないでほしい。必要性はわかるけれども自分の所では引き受けないという一部の首長の意見によって、九州市長会で、“オスプレイ配備反対”の決議がされなかった。『沖縄の苦しさというのは共有されないのだ』とさびしい気持ちになる」と語った。そして、松元政治部長は、今回の総選挙の結果にふれて「自公政権になって、“県外移設しかない”と言っていた仲井眞沖縄県知事が翻意する期待感が東京(霞が関)や米国にはあるが、今の沖縄の民意が県内移設反対で高止まりしている中では、仲井眞知事といえども転換するのは難しいであろう。これから、自公政権とのせめぎ合い、飴と鞭を駆使して沖縄を陥落させるという懐柔策が繰り出されてくる。今回当選した国会議員の81%が辺野古移設には賛成という状況で、沖縄にとっては厳しい試練が待っているだろう。今回、9月9日のオスプレイ反対県民大会は、これまでの大会と比べて変化があった。もっとも象徴的な変化だったのは、この大会をやろうと声を上げたのが、かつて“県内移設の急先鋒”であった翁長雄志那覇市長であったこと。翁長市長は、基地問題で沖縄の人々が分断されるのをなんとかしたいという思いがある。また、民主党政権になって米軍再編の中の一つの基地移設というスモールパッケージで一国の首相のクビがとぶというのはいったいどうなっているのか。そもそも、沖縄に海兵隊は必要なのか、抑止力と海兵隊が結びつき、何も検証がされないまま辺野古基地移設やオスプレイ配備が進められているのはおかしいのではないか」と語った。

 また、鳩山首相が退陣した時の内実を語ったインタビュー記事についてふれ「鳩山さんは『私は何とか県外移設をしたいといろいろとやったけれども、官僚や大臣の包囲網に阻まれ軍門に下ってしまった。抑止力といったのは苦し紛れの方便であった』と認める発言をした。この記事を掲載したのは、沖縄の2紙だけで、全国のメディアは、鳩山さんの放言、失言のたぐいということで収めてしまったのは大変残念であった」とメディア報道の問題を語った。そして、田中聡沖縄防衛施設局長の取材陣とのオフレコの場での暴言について、「女性のみならず、沖縄に基地を押しこめている構造を、性的暴行になぞらえた人権感覚を著しく欠いた発言であり、オフレコでもこれは特集で報道しなければならないと思った」と話した。さらに「2011年のいろいろな出来事が重なって、今年のオスプレイの問題がある。このような沖縄に対する差別構造を、県民が自分の問題として心に埋め込んでいって、今のオスプレイの問題に立ち向かっていったと感じている。オスプレイの問題は遠からず、本土にも波及する問題である。本土の低空飛行ルート下の自治体や住民が連携して声を上げていくことがとても重要であり、これが米軍や防衛省へのプレッシャーとなる」と語った。最後に「『落としどころはどこですか、沖縄さん』という落としどころを沖縄に求めるということを断ち切るという時期にまさにきている。 “民主主義のあるべき姿”を政権与党に認識させるということが、私たちに課せられた課題である」と語った。

 2つの講義終了後、講師を務められた高良鉄美教授と松元剛政治部長の2人と参加者との意見交換が行われた。

 また、藤本泰成平和フォーラム事務局長から「今、ピースデポ(NGO)という団体にお願いし、低空飛行訓練ルート下の全自治体にアンケート調査をしている。また防衛省から爆音による被害で金銭が支払われたケースを出させて、全国でこのような問題があるのにもかかわらず、オスプレイの低空飛行訓練をやるのかという記者会見を含め一緒に全国集会をやりたいと考えている。1月14日に対策委員会を開催し、検討していきたいと考えている」と提起し、集会を終えた。