~オスプレイの危険性と低空飛行訓練の危険~
墜落や事故の多いオスプレイを受け入れていいのか
静岡県平和・国民運動センターは、2月23日(土)、御殿場市内で、米軍が今後、全国で計画されているオスプレイの飛行訓練について、御殿場市の米軍キャンプ富士でも飛行訓練が計画されているため、講演会「なぜオスプレイは危険か」を開催した。講演会には、御殿場市在住の市民を含む約80人が参加した。
冒頭、主催者を代表して、静岡県平和・国民運動センターの原科臣孝会長は「米軍は、今後、全国で飛行訓練を行うとしている。ここ御殿場市の米軍キャンプ富士でも飛行訓練が計画されている。このオスプレイは、開発段階から事故が相次いでいて、各地の自治体では、オスプレイの低空飛行訓練に不安を募らせている。沖縄県のオスプレイ飛行訓練の問題はもう他人ごとではない。どうかこの問題について、考えていただきたい」とあいさつした。
講演会では、神奈川県平和運動センター副会長で、相模原市議会議員の金子豊貴男さんと沖縄県平和運動センター事務局長で全日本自治団体労働組合沖縄県本部副委員長の山城博治さんの2人を講師に、オスプレイの危険性や低空飛行訓練について、また沖縄でのオスプレイの飛行訓練の実態語ってもらった。
オスプレイは「ヘリコプターと飛行機のいいとこ取り」それで無理がある神奈川県平和運動センター副会長 金子豊貴男さん
はじめに講演した金子豊貴男さんは「オスプレイの危険性と低空飛行訓練」についてオスプレイの模型を使って説明した。「オスプレイは、ヘリコプターと飛行機の機能をあわせ持つ飛行機である。今までなぜできなかったのか、それは、飛行機の設計上無理があるからである。それを無理やりつくったのがオスプレイである。結果的にさまざまな事故が起きている。ヘリコプターはオートローテンション機能がなければ日本の空を飛ぶことができない。日本政府は、オスプレイにこの機能があると言っているが、それは『コンピューター上のシュミレーション』で確認しただけで、実際にその機能を確認してはいない。オスプレイは軍用機であり、事故はパイロットの責任であるとして、運行停止はしていない」とオスプレイの危険性について説明した。
また、米軍キャンプ富士について「オスプレイは、プロペラの下にすごい風を起こす。その風によって木々や砂利を巻き上げてしまう。そのため、米軍キャンプ富士は、ここ数年で、滑走路を舗装したり、ヘリパッドや管制塔を建設したり整備が進んでいる。米軍キャンプ富士は、陸上自衛隊東富士演習場の中にある米海兵隊の基地である。米海兵隊基地は、沖縄県には多くあるが、本州では、岩国基地(山口県)とここ御殿場のキャンプ富士の2箇所であり、ここを使用して米海兵隊は、オスプレイの危険な訓練をしようとしている。しかしキャンプ富士には、燃料の補給施設、整備施設、兵士の休養施設がないため、厚木基地を使うことが考えられる。」と語った。
実際の戦争を想定、航空法150m以下の低空飛行訓練を実施米軍の低空飛行訓練の実態について「ヘリコプターは日本の航空法上、150メートル以上の上空を飛ばなければならないとなっているが、米軍のヘリコプターはそれよりも低空飛行で訓練をしているのが実態である。今後、この危険な訓練が御殿場で行われることになる。このような危険な訓練をさせないため、オスプレイを飛来させてはならない」と訴えた。
さらに「日本政府は『オスプレイは行動半径が600キロになったから尖閣諸島の防衛に必要なんだ』と主張するが、海兵隊のオスプレイは単なる輸送機であり、武装は全くない。日本政府の主張には無理があり、単なるごまかしである。低空飛行訓練とは、敵のレーダーを避ける低さで飛ぶということで、山岳地帯では谷底をはうように、海では海面2、3メートル上を飛ぶことである。現在、日本国内に低空飛行訓練ルートは8本あり、そのうち6本を使って、オスプレイは訓練をすると米国政府は2012年6月の環境レビューで発表されている」と語った。
最後に米軍の発表した事故報告資料をもとに「厚木基地関連では、戦闘機やヘリの墜落事故が62回、沖縄では128回起きている。より墜落や事故の多いオスプレイを受け入れていいのか」と参加者に訴えた。
沖縄の実態は、例外規定が恒常化、生活が犠牲
「違反飛行6割、20分間に20回(1分一回)の飛行、夜間飛行」
沖縄県平和運動センター事務局長 山城博治さん
続いて講演した沖縄県平和運動センター事務局長の山城博治さんは「一年のうち7、8か月は山中に入ってオスプレイがやって来ようとするヘリパッド建設現場で反対運動に従事している。沖縄北部の東村の高江という人口150人ほどの集落を囲むようにヘリパッドの建設計画が持ち上がり、反対運動が起こった。その反対運動に取り組んでいる。ぜひ、皆さんに沖縄の状況を知ってもらい、なぜそうなのかを考えてもらいたい」と語った。そして、写真や資料で沖縄における反対運動の取り組みを紹介しながら、なぜ騒音が起きるのかについて「オスプレイの重量は、CH46輸送機の約2倍、プロペラの大きさは、CH46が15.5メートルに対し、オスプレイは11.6メートル。CH46よりも重量が重く、プロペラの大きさは小さいので、より大きな出力が必要となり、結果として騒音が増すのである」と説明した。
さらに、沖縄でのオスプレイの飛行実態について「オスプレイ導入に際し、協定をつくった、その内容は、(1)市街地を飛行しない、(2)夜間飛行は23時から翌朝6時までは飛行しない、(3)ヘリモードから飛行モード及び飛行モードからヘリモードに変換する際は基地内で行うとなっているが、運用上の例外規定が設けられている。しかし、違反飛行は6割にも上っている。病院や学校を含む市街地を現実は飛行している。また、20分間に20回、つまり1分に1回の離発着訓練が行われたり、さらに夜間飛行訓練は23時までとなっているが、24時間飛行訓練が行われている。つまり、沖縄ではこの“例外規定”が“恒常規定”になってしまっている」と実態を語った。
山城さんは、沖縄の経験を踏まえて「私たち住民が声を上げないと、必ず被害は出る。オスプレイの訓練は、道理にあうものなのか、住民生活を犠牲にしてまでも引き合うべきものなのかということを考えていただきたい」と訴えた。